【海外から見た日本】アメリカ人が持つ日本人の働き方のイメージとは
アメリカ人に囲まれて働いていると「あ、日本ってそんな風に見られているんだ、、」と感じたり、また日本では当たり前だったことが世界の当たり前ではないということを日々痛感します。
今日はBusiness Insiderというビジネストピックに取り扱うアメリカの大手ウェブサイトの記事を抜粋しつつ、海外から日本がどう見られているかを紹介したいと思います。
<5 major differences between Japanese and American workplaces>
https://www.businessinsider.com/differences-between-japanese-and-american-work-culture-2018-3
当記事では日本とアメリカの大きな違いとして5つ挙げられています。
①フォーマルな職場
(Japanese workplaces are more formal)
②どんな意思決定にも上司の承認が必要
(In Japanese companies, employees must get superior’s approval whenever they make a dicision)
③アメリカでは個人に、日本では集団に重きを置く
(American workplaces focus on the individual, Japanese workplaces focus on the group)
④同僚と飲み会に行く
(Japanese workers are often expected to party with coworkers after hours)
⑤休まず、長時間働く
(In both countries, employees work long hours and take few breaks)
なんとなく全部あっている気がしますが、、これらについて深掘りしてみたいと思います。
①フォーマルな職場
<記事の内容(意訳ですみません)>
・アメリカ人が職場でもお互いを下の名前で呼び合うのは日本人にとって驚かれる。日本では失礼とみなされる。
・服装も明るいスーツを着ている人はおらずビジネスカジュアルはあまりない
・日本の“サラリーマン”は夏でもダークな色のスーツとネクタイをつけ、それは女性も同様。
呼び方と服装は確かに大きな違いですね。
アメリカでは社長であっても下の名前呼び捨てで呼ばれますし、役職関係なく対等に話をします。日本のようにペコペコ頭を下げるのではなく握手で会話がスタートします。
また服装についても、みんな同じような格好で働いている様子はアメリカ人からするとかなり不思議に見えるそうです。
ちなみに、、私自身こっちでは普段からポロシャツなどだいぶカジュアルな格好で働いていますが、カジュアルな服装で仕事ができるのは本当に楽だと感じます。。それは単にスーツより着心地がいいということだけではなく、精神面にも大きな影響があります。
行動経済学ではプライムという概念があって、人間は見ている物から知らず知らずの間に影響を受けるというものなのですが、行動経済学で「みんなが同じスーツを着ている環境というのは統率のプライムとなる」ことが分かっているそうです。要は、職場でみんなが同じような格好で仕事をしている状況は「みんなと同じように」とか「ルールを守る」という意識を助長し、統率が高まるということです。
なんとなく分かりますよね。もし職場でみんなが自由な服を着ていたらそれだけで雰囲気はがらっと変わります。
カジュアルな服装によって物理的だけでなく精神的にも楽になります。最近日本企業でもカジュアル化を取り入れ出しましたが、これから更に変わっていって欲しい部分です。
②どんな意思決定にも上司の承認が必要
<記事の内容>
・日本には報連相という行動基軸がある
・従業員はやっていることを常に上司に報告し、承認をもらわなくてはいけない
日本人とっては当たり前の報連相ですが、アメリカに限らず日本以外の国では存在しない概念になります。
うちの会社を含めて、よく海外駐在員が現地スタッフは報告が少なすぎて困ると言っているのを耳にしますが、それは当たり前で、海外にはこまめに報告することをよしとする考え方がありません。
報連相は日本の誇るべき働き方の一つだと思いますが、一方でネガティブな側面もあると個人的には思っています。
報連相を体系化してルール化したことによって上司は待っていても部下の進捗を確認することができて、部下が報告をしないときには「なぜ報連相を守れないんだ」と詰めればOKという構造になってしまいます。
アメリカでは上司は部下から報告“してもらう”ために信頼関係を作ろうとしますし、この人に報告するとメリットがある、と部下に感じさせるための適切なアドバイスやマネジメントが求められます。
アメリカに来てからの大きな気づきの一つとして、役職が高くなればなるほど人格者が多いということです。当たり前っぽいですが、日本って以外とそうでもないですよね。うちの会社もそうですが、役職が高い人は癖が強い人が多いというか、例えば部下を詰めてやらせるのが上手だったりして、「みんなから嫌われてるけど仕事ができる人」が昇進するケースが非常に多いです。
これは報連相がルール化していることの弊害かなと思っています。報連相を徹底することで自然と情報が集約され組織としてはメリットが大きい一方で、管理職が部下との人間関係構築という点で歩み寄る努力をしなくなることでストレスフルな職場環境に繋がるかもしれません。
良し悪しありますが、報連相は日本だけだということ、海外ではそれが通用しないということを認識することが大切かなと思います。
③アメリカでは個人に、日本では集団に重きを置く
<記事の内容>
・アメリカは構造化された個人主義で、リーダーはチームワークや企業理念の浸透を請け負っているがそれ以上に個人の自由を重視する。
・日本では組織が重視され、リーダーは組織に全てを捧げる。
記事の中ではアメリカの方がいい感じのニュアンスで書かれていますし、アメリカ人も「日本人は集団主義で主張がない」と偏見を持っている人が多いですが、この点においては個人的に違うと思っています。集団主義は完全に日本の誇るべき強みです。
なぜなら「集団に重きを置くこと=主張がない」では決してないからです。日本とアメリカで働いていて思うのは、日本人もアメリカ人も同様に個人の主張を持っていて、その上で日本人はチームや組織全体としての最適解を見つけることにフォーカスしている点です。
例えば、日本人はミーティングをしていると「相手が今こう言ったから違う視点の意見を言おう」とか「意見がAに偏っているからBの視点について意見しよう」とか、全体のバランスを見て自然に自身の意見の伝え方を変えたり、意見を主張しなかったりと、柔軟に対応することができます。これは意見がないのとは違いますよね。
このチームワークの感覚を自然に持っているのは日本人の強みで、自信を持つべき部分だと思います。
(ただそういった偏見に負けないように時には力強く主張することが海外では絶対的に必要です)
④同僚と飲み会に行く
<記事の内容>
・日本には飲み会という仕事後に同僚と飲みに行く文化がある
・それは強制ではないがある程度参加することが求められる。
・人間関係を作るためには有益かもしれない
日本の飲み会はストレスですね。。飲み会自体はいいですが、どことなく断れない雰囲気があるのが辛いです。
アメリカでは飲み会自体あまりないですし、例えばチームで数ヶ月に一回あっても、参加は完全に自由ですし(行かないといけないような雰囲気はないですし)、またみんな帰りたい時に自由に帰っていきます。
意外とアメリカ人でも日本の“Nomikai”を知っている人は多く、日本人の典型イメージになっているかもしれません。
⑤休まず、長時間働く
<記事の内容>
・アメリカ人も日本人も休暇をあまり取らず長時間働く
・日本には「過労死」というものがある
・アメリカも2017年時点で有給消化率が50%で、また60%が休暇中も働いている
・日本の休暇取得率はおよそ50%で、多くの人が休暇を取ることに罪悪感を感じている。
“Karoshi”はアメリカでも結構有名です。日本人働きすぎのイメージは多くのアメリカ人が持っていて、まあその通りだと思います。
今いるアメリカ企業では4時~5時の間でみんな帰っていきますし、6時にはほとんど周りに人がいなくなります。家で仕事をしていることを踏まえても日本人の方が圧倒的に働いています。
(また仕事の残りを家でやるのと会社で遅くまで働くのではストレス度合いも大きく異なります。)
ただ面白いのは、世界の中ではそのアメリカ人でさえ働きすぎと思われている点です。イギリス人の友人が言っていたのが、彼がアメリカに来るときに多くの友人から「働きすぎるなよ」「体壊すなよ」と心配をされたらしいです。
イギリスを含めヨーロッパでは基本的に残業はないですし、休暇も夏に3週間、冬に2週間くらい休みを取ります。男性も育休で2ヶ月くらい休むのが一般的らしいです。
日本人が世界の中でどれだけ働いているか分かりますよね。。
グローバル化の波を受けて日本の労働環境も変わりつつありますが、「毎日7時退社」「水曜日の早帰り」くらいで喜んでいてはまだまだ先が長そうです。
まとめ
アメリカ人からから見た日本について紹介しました。
①フォーマルな職場
②どんな意思決定にも上司の承認が必要
③アメリカでは個人に、日本では集団に重きを置く
④同僚と飲み会に行く
⑤休まず、長時間働く
何度もこのブログに書いていますが、日本では当たり前のことが世界では当たり前じゃないケースはたくさんあり、それが日本を生きづらくしている側面もあれば、日本の強みになっているケースもあります。
一つ言えるのは、日本のような厳しいマネジメント、職場環境で働くことができるのであれば、あとは英語さえできれば海外ではやっていけるということです笑
ということで引き続き英語頑張りましょう。