【日本とは全く違う!】アメリカ企業の人事制度

2019年12月15日

 

 

アメリカの金融機関で勤めていると、フレキシブルな働き方や女性活躍など日本企業では考えられないような仕組みや取り組みがたくさんあります。

そういった違いってもちろん考え方や文化の違いもあると思うんですが、人事制度や評価体系に違いが大きいんだろうなーと思い、個人的に従業員にヒアリングしたりしていました。

 

実際日本と欧米では大きな違いがあり、「年功序列の中で総合職として働く」という日本の仕組みをアメリカ人に説明しても全く分かってもらえなかったです。笑

(そもそも総合職という言葉が英語にはないです)

 

日本でも年功序列が問題視されてきて徐々に崩壊しつつある中で、海外で働く働かないに関わらず世界の常識を知って、日本はユニークだと認識することが重要かなと思っていますので、是非参考にしてみてください。

 

人事制度は大きく

①異動制度

②人事評価体制

に分かれると思うのでそれぞれについて書きたいと思います。

 

 

アメリカの異動制度

 

日本企業では新卒で総合職として入社し、基本的には人事部によって人事が決定されますよね。希望は当然出しますが、通らないこともありますし、急に転勤の内示がでることもあります。

 

アメリカでは総合職という概念がなく、異動は本人が応募し面接を受けるという形で決まります。

各部署・チームに「~ Conslutant」「Sr ~ Analyst」「~ Engineer」…etc といった感じでポジションが設定されており、それぞれ給与、職務ランク、勤務地、そのポジションの具体職務が明確に決めれらています。

 

異動したい人は人事部のHPに掲載される以下のようなリストを見て、自身の希望する部署や役職の職務を探します。

応募をすると、「履歴書提出→人事部による書類選考→部署担当者との面談」と進んでいき、採用の可否が決まります。イメージ的には就職活動や転職活動に近いです。

また当リストは外部にも公表されているので、新卒の学生や転職者も同様のプロセスで応募してくる仕組みとなっています

 

<人事部HP Job Openings>

Pasted Graphic 1.pdf

 

つまり会社目線でいうと、日本のように毎年人事部によって人材をシャッフルすることでジェネラリストを育成するという発想ではなく、欧米では部署やチームが必要なポジションを人事部のHPに掲載することで社内外から募集をかける仕組みとなっています。

 

従業員にとって、このような制度はメリットは多く、

・強制的に異動させられないので専門性が鍛えられる

・転勤がない or 自分で選択できるのでマイホームの購入など人生設計がしやすい

・単身赴任しなくていい

・自身でキャリア形成できる

・勤務年数ではなく実力、実績に基づいて異動や昇進が可能

 

欧米企業で転職が一般的になっているのは、こういうフラットで透明性の高い人事制度によるものです。

転職が盛んになると、企業は人材が流出しないように先進的な職場環境作りなど従業員満足度を高めるための取り組みを行うので、そういった意味でも従業員にとってはメリットが大きいです。

 

また欧米企業の女性活躍は日本とはレベルが違っていて、例えば私の企業であれば役員の約半数が女性です。

年功序列の中では産休育休などで長期間休みを取るとその差を挽回するのが難しかったりして女性活躍の妨げになるケースもありますが、このように実力や実績をベースとした人事制度では女性でも平等にステップアップすることが可能です。

 

、、などなど、人事制度は働き方や企業文化の根本となっており、いろいろな部分に影響を与えています。

 

 

アメリカの人事評価体制

 

これは日本でも企業によると思うのですが、今勤めているアメリカ企業の特徴は

・上司との人事面談プロセスを簡素化。フォーマルからカジュアルな会話ベースに。

・関係者からフィードバックを徴収し、上司はそれをもとにボーナスの元になる人事評価を決定。(そもそもアメリカでは年間の人事評価によって翌年のボーナスが変わるのが一般的)

・上司から自身の評価についてのフィードバックを行う面談あり。

・上司のマネージャーと、自身の上司のマネジメントや評価の公平性について話をする面談あり。

 

中でも日本との大きな違いとして挙げられるのが、太字で書いた「関係者からのフィードバック」かなと思います。

どういうことかと言うと、例えば私がA課長のもとで働いているとして、A課長は年度末が近づくと私が当年度仕事で関わった関係者7-8名に対して、私に対するフィードバックとスコアを人事用オンラインサイト上で提出するよう依頼します。

A課長はそれら関係者から集まったフィードバックを参考に私の評価を決定することになります。

 

つまり他方向からのフィードバックをもとに評価が決定されるため、上司の好き嫌いといったバイアスを極力排除することに繋がります。

 

日本だと評価を決めるのは基本的に上司だけなので、上司の機嫌取りをしたり言うことをなんでも聞かないといけなかったりしますよね。アメリカでは関係者からの評価も回収するため公平性は日本よりも高いです。

 

また評価についてはきちんと従業員にフィードバックされ、また上司に対して不満があれば上司の上司と面談をする機会があり、従業員の満足度維持のため納得感のある仕組みになっています。

 

 

まとめ

 

アメリカを含む多くの欧米企業では、透明性の高い人事制度の中で、個人がキャリアを選択するのが一般的です。また人事評価制度も、上司の好き嫌いに依らない、公平性を保つような工夫がなされています。

 

上司の言うことをなんでも聞く、飲み会に行かないといけない雰囲気、長い時間働く人がえらい、といった日本企業独特の文化は年功序列制度の中で会社や上司の力が強くなりすぎた結果と言えます

 

よく大企業の海外駐在員が、現地スタッフが働かないとか言うことを聞かないという不満を言っているのを耳にしますが、まずは海外ではなにが当たり前なのかを認識する必要があるかなと思います。

参考になれば幸いです!